2020年5月5日 Facebook投稿
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<ブックカバーチャレンジ>(コロナ対策巣ごもりの時期にFacebook上であった面白かった本の表紙を紹介するバトン)
6日目
八王子高尾の私立美大学卒業して芸大の大学院も落ちたしどうしようかなと福生の平和荘なるボロアパートと秋川のアトリエ代わりに借りた書道塾跡地を往復していた時期に読んだ本。 仕送りしてもらっていたのでバイトもせず2週間も全く人と口をきかないなんてこともありました。 寝起きしていた平和荘は名前とは裏腹に、米軍ジェット戦闘機の進入コースの真下で今度こそ墜落してきて死ぬぞと思う瞬間が何回もある夜がしばしばのとんでもない爆音下のアパートでした。
爆音を奇貨として「バカヤロー、死ね〜」の絶叫寝言を毎夜繰り返す昼間は紳士でこざっぱりした公務員の方が隣にお住まいでした。
しかし人間というのは慣れるもので一年もすると殆ど爆音でも絶叫寝言でも起きることがなくなり、却って犬の鳴き声で起きるようになりました。
さて、作者ハーマン・メルヴィル(1819〜1891)はその因縁の国アメリカの作家ですが、この「白鯨」は1851年ロンドンとニューヨークでの出版。1853年のペリー来航と同時期です。
最近インスタ等ネット上で19〜20世紀アメリカ美術の無名の職人、アマチュアの美術作品掘り起こしに触れる機会が多いのですが到底西欧風に洗練されているとはいえずプリミティブでおもしろい作品があとからあとから。
いかにも大国然としたペリー来航のイメージでしたが海の向こうも日本に劣らぬ文化混乱期だったのではないだろうか等と勝手に想像しています。(南北戦争. 1861〜1865年)
そして、そんなときに思い浮かぶのが南北戦争直前に出版されたこの小説です。前述のように平和荘で読んだ記憶です。 馬鹿っぽいとまでいえる面白さ、精緻に入り組んだ細部、どす黒いパワーすべてにおいて半端なかったと記憶しています。
なおメルヴィルは生前は認められることがなかったそうです♪
後記
ヨーロッパの無名の職人、アマチュアの19世紀以前の奇抜な美術作品はあまりない印象ですが、もしかすると見えないだけで、今後盛んに掘り起こされて来るのかもしれません。20世紀になってからのヨーロッパのアマチュア作品はナイーフ、アールブリュットとして評価されていますね。(2021/10/08)
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