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能率の悪い男たち

  • 執筆者の写真: 鈴木厚本人
    鈴木厚本人
  • 2021年11月1日
  • 読了時間: 3分

更新日:2021年11月14日

(当ブログオリジナル)

私は皆さんも御存知のように能率の悪い男である。

最近は流石に体力の問題で減ってはきているが過労死ラインレベルの長時間労働で雀の涙の収入、全く名声もない。

仕事中は忘れているが、やっぱり時々は激しい自己嫌悪にさいなまれるわけなのだが、そんな私がホッとしてしまう面白い家が近所にある。

数年前に家を買って越してこられて、お隣と言うほどの距離でもないのにキチンと手ぬぐいを持って引っ越しのご挨拶にこられた礼儀正しい男所帯なのだが、とにかくお庭が汚い。 それ以来挨拶以外の会話はない。

雑誌や古い家財道具、それに枯れた植木鉢がたくさん雑草の茂った庭やガレージの中に散乱している。側溝の中も縁も雑草だらけ。

それが無精かというとそうではなく、何故かそのお家の方と思しき挨拶に来られた方ではなくて、白い古い軽自動車に乗って来られる50代前半ぐらいの方がかなりしばしば清掃作業をしている。

時には顔の周りに防虫用の網をかぶっているときもあって、なかなか本格派清掃人の出で立ちなのだが、どういうわけか一向に家の周りがきれいにならないのである。

目は落ち窪んで暗い印象だが長身痩躯、昔はいい男だったろうという風貌で、こちらから挨拶すれば返してくれるが、作業に没頭しているようで路行く人を気にしている風は全く無い。

1度目撃したのは、細い木の枝を丁寧に剪定ばさみで10cmぐらいに切って燃えるゴミの袋に入れている。あまりに仕事が丁寧すぎてはかどらないのか。

先日はエンジンチェンソーを振り回していたのだが、大して太くもない雑草とともに生えて来た雑木しかないのに、なぜかフルスロットルの大爆音が数時間。そして、例によって、夕方、かの軽乗用車はいなくなった。

それでも敷地内の雑木には確かに切りつけられた痕跡はあるものの、まだたくさん生えているし、切り落とされた枝も多く放置されたまま。一つだけ残された枝の小さな束。

というぐあいなのだが、ある日、庭を見るもなしに見ると、草叢の中に、土が露出した部分があって3mぐらいだろうか一列に何かの苗木が整然と植わっている。ぴっちり定規を当てたようにまっすぐに立ち、一直線。雑然とした庭に、赤みを帯びた三日月型の若葉が美しい。

いっちゃなんだが、掃き溜めに鶴の様相。

もしかしてこの方たち、実はとってもきれい好きな人たちではないだろうか?

ウーン、自分に話を戻すと、20代には僕も有名にもなってモテたいし、お金持ちにもなりたい。歴史にも名前を残したい、それで寝食忘れて作品作りに励むようになったわけだが、しばらくすると、そういうモチベーションがなくても自分にとって良い作品を作ることに熱中出来るようになった。だがしかし、いつの間にやら作品を作っていること自体が目的と化してしまっているところもある。それに似ているところがあるんじゃないかと思うんですけど穿ち過ぎかしら。

長い割に結論がくだらなくてすみません。



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